本紙予想のS…「レオアオバ」。この馬名を今思い出しても口の中が苦くなる。競馬記者歴ウン十年の中で唯一の汚点。

 何年も前になるが、知り合いの馬主に相談を受けた。「中央下がりの『レオアオバ』という馬を購入するつもりだが、ちょっと競走成績を見てもらえないか」ということだった。その馬主に会うと、プロの目から見て意見を聞かせてもらい、購入するか、断るか、判断したいようなことを言っていた。競走馬といえば安い買い物ではないので、こちらも真剣に、持ってきた競馬四季報を見た。血統、タイム、馬体重、…すべての項目を冷静に判断すると「これは買い」という結論に達した。もちろん、ノーパン(脚部不安ではないこと)を条件に馬主には購入を勧めた。金額面も納得の範囲内だし、いい買い物だった…とその時は思ったのだが…。

 購入後に分かったことだが、私が競馬四季報でみていた馬は別の馬だった。馬主が言っていた「レオアオバ」ではなく、同じペースの1頭あと…「レオ〇〇〇」という馬の成績を見ていたのだ。改めて「レオアオバ」の成績を見てみると、正直、お奨めできる成績ではなかった。ヒヤ汗が出たが、いまさら馬主には言えず、ただただ活躍してくれることを祈っていた。そんな私の気持ちも知らずに、その馬主は転入初戦からハミがかかったように、自分の馬にイレ込んでいた。「何連勝するかな?」と聞かれるのが一番こたえた。結局、その馬はソコソコの成績は残せたが、大成することはなかった。親しい馬主さんだったので許してもらえたが、反省の日々が数ヶ月続いたことを覚えている。